読書のすすめ 第10号

★『論語』

 今回は『論語』(岩波文庫 金谷 治訳注)です。言わずと知れた古典の名著です。私も学生時代に中学校の教科書や、大学時の教職課程の中で読みました。しかし、当時は正直大きな印象を持ちませんでした。「なんか、いいことを言っているな。」ぐらいの印象で、教職課程が終わると結局本棚の中に埋もれていました(苦笑)。きっと「読まされていた」、つまり受け身の読書だったからなのでしょう

 数年後社会人となり、精神修行のために改めて読んでみようと思い、自分から『論語』の世界に入っていくと感銘度が大きく変わりました。前向きな気持ちで読むと読書ってこんなに違うのですね。印象に残った箇所を紹介させていただきます(現代語訳で)。あえて教科書には出てこなそうなところを取り上げてみます。

 

 ・「人が自分を知ってくれないことを気にかけないで、

   人を知らないことを気にかけることだ。」

 

 ・「行うべきことを前にしながら行わないのは、臆病ものである。」

 

 ・「君子は道徳を思うが、小人は土地を思う。」

 

 ・「すぐれた人を見れば同じようになろうと思い、つまらない人を

   見たときにはわれとわが心に反省することだ。」

 

 ・「むかしの学んだ人は自分の[修養の]ためにした。

   このごろの学ぶ人は、人に知られたいためにする。」

 

 ・「斉の景公は四頭だての馬車千台を持っていたが、死んだときには、

   人民はだれもおかげを受けたとほめなかった。」

 

 ・「真っ直ぐなのを好んでも学問を好まないと、

   その害としてきゅうくつになる。」

 

 ・「広く学んで志望を固くし、迫った質問をして身近に考えるなら、

   仁の徳はそこにおのずから育つものだ。」

 『論語』は中国大古典「四書」のひとつです。読みやすかったことも幸いし、私自身は他の「四書」を読むきっかけにもなりました。まだまだ難しく感じる箇所は多いですが、「なんとか吸収する!」という積極的な読書を大切にしたいと思います。