読書のすすめ 第17号

★『ダ・ヴィンチ・コード』

 

 今号では、当塾の本棚「梅草文庫」に置いてある本の中から紹介したいと思います。今回は小説のジャンルからで、『ダ・ヴィンチ・コード (上中下)』(ダン・ブラウン)です。読書家の方には少々懐かしいと思われますが、世界中で売れたベストセラーです。内容は、謎解きが多いのでミステリーと言えるでしょうか。

 読みやすい&ドキドキ感があるので、ドンドン読み進めることができると思います。しかしミステリーとしては、私は正直あまり衝撃を受けませんでした。むしろ、キリスト教についてであるとか、レオナルド・ダ・ヴィンチについてであるとか、歴史(世界史)の勉強になったなと思っています。特に、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵に隠されている謎を紹介する場面は非常におもしろいです。「彼の絵にはそんなに数多くの裏があったのか!」という感じです。絵にそこまで興味の無かった私も思わず食いついてしまいました。

 ただ、そこで感動したのと同時に気をつけたことがあります。それは、「まてよ、この説はこの作者の説に過ぎないんだよな。」ということです。歴史の勉強をする際には、色々な見方をするのが大切です。決して一つの見方に偏らないように注意が必要です。例えば、学生のみなさんが使っている社会の教科書だって、言ってみればそれはその教科書会社の説なんですよね。それが100%真実なんて言えないわけです。いい意味で、「常に疑う心を忘れずに!」です。この「疑う心」は、歴史の勉強以外にだって意識したいものです。今まで自分にとって当たり前だったものを、興味深い視点で覆されると、「そっちの説が正しかったんだ!」と思い込んでしまうことってありませんか?「そうか、本当はこうだったのか!」みたいに。新しく得た方の知識はなぜか疑わない。それは危険かもしれません。今得た知識だって、「数ある考え方の一つに過ぎないのだ」という姿勢は持っておきましょう。ただし、疑い過ぎてしまって身動きが取れないというのも、チャンスを失うという点で考え物です。情報に流されないためには、「バランスを持つこと」、そして何より「自分の軸というものを持つこと」が大切かと思います。