読書のすすめ 第18号

★『壁を越える技術』

 今回紹介する本は、『壁を越える技術』(西谷昇二)です。著者は、長年代々木ゼミナールのトップ講師である西谷先生です。私も高校生の時に西谷先生の授業を受けていました(当時400人教室がいつも満員でした。)。私が「先生というのはその科目のことだけ教えているわけではない。」と初めて体感したのは、この授業からだったと思います。

 さて、この本では「人生には大なり小なり必ず壁がある。その壁を前に逃げずに突進し、打開できるか否か。その違いは“壁を越える技術”を身につけているかどうかにある。」とあります。これを聞いて、自信のある人・ちょっと自信の無い人に分かれるかもしれませんが、「“壁越えの技術”は本来誰もが持っているもの。」と続きます。この本の例にもあるように、確かに私も練習を重ねることで自転車に乗れるようにもなりましたし、水泳もできるようになりました。これらの過程で思い出すもの、それは小さな階段を少しずつ克服し、達成感と共に小さな自信を積み上げてきたということです。「一見複雑に見える物事(壁)もまずは一つひとつをほぐしてみること(例、25m泳ぐのがキツければ、まずは1mから始める)。」、本書で紹介されている壁越えの技術の中で、これが最初にやることのように感じます。

 その他にも、「好きなことと嫌いなこととで物事を分けてはいけない。好きなことを追い求めているうちに、そのなかで嫌いなことというのが出てくる。やりたくないことを越えない限り成長はない。」などの内容があります。私は野球部でしたが、例えばバッティング練習は楽しかったですが、走り込みは嫌で仕方がありませんでした。しかし、その嫌いな走り込みから逃げていたら、当然試合にも出られなかったでしょうし(そんな我がままな選手を使いませんよね)、野球全体の技術も伸びなかったと思います。

 私は読書の際、気になったページは折り目をつけながら読みますが、この本は折り目だらけです(笑)。「“自信のカケラ”を思い出しながら物事に挑戦し、精神的なタフさを身につけていく。」その大切さとコツを教えてくれる1冊です。