読書のすすめ 第27号

『英語で日記を書いてみる』

 大学入試改革に伴い、教育業界では「アクティブラーニング」や「英語4技能の育成」という言葉が多く飛び交うようになっています。今回は英語力のアップの助けになればということで、『英語で日記を書いてみる』(石原真弓)を紹介いたします。

 内容は題名の通りです(笑)。少しずつでいいので、日記を手段に、自分から英語を書く習慣をつけようという内容です。発売されてから年は随分経っておりますが、英語の勉強において、インプットだけでなくアウトプットが大事だということを世に広めた本の1冊だと思われます。実際の書き方の手順も丁寧に説明されています。

 

 英語の勉強には大きく分けて「読む・聞く・書く・話す」の4つがあります。その中でも「書く」は難易度の高い内容です。学校や塾を問わず、今の学習システムでは、どうしても「読む」や「聞く」などの受け身の勉強が多くなっています。それに対して「書く」や「話す」は能動的な勉強です。この2つは勉強し出すとわかりますが、いわゆる「産みの苦しみ」が伴います。ただし、苦しんだだけ当然記憶の定着もいいですし、自分にとって実用的な力がつきます。思い出してみてください。他人から与えられた文〔内容〕より、自分で書こう〔書きたい〕と思った文を自分で辞書を引いて完成させたものって、けっこう覚えがよくありませんか。自分の頭から搾り出したというエピソード力が強いから忘れにくいのかもしれません。この本の筆者も言っていますが、最初は苦しいでし、数行書くだけでかなりの時間を使います。ただ、苦しんで出したその文は、他人の押し付けではなく自分で生み出した文のはずですから、一度覚えてしまうと自然に使えるようになります。こうやって、自分にとって自然な表現を少しずつ増やしていけるとのことです(英会話にも同じことが言えますね)。例文を暗記するという勉強ももちろん大事です。ただ、その覚えた例文というのは、自分の言葉ではない、自分から離れた内容なので、頭の引き出しから出にくいのです。   

 

 すでに日本語で日記を書くという習慣がついている人は、数行ずつ英語にしてみるというのはどうでしょうか?