おすすめ書籍<教育>

・『冒険の書 AI時代のアンラーニング』(孫泰蔵/日経BP)

『冒険の書』
『冒険の書』

 教育論の本になります。主人公が歴史上の哲学者・教育者と対話(冒険)をしていきながら、現代の教育に迫っていくというという構成です。物語風になっていますので、教育というやや硬い内容ではありますが、読みやすい内容になっています。

 先進的な内容であるため、読む人によって賛同できる部分とできない部分があるかと思います。ただ少なくとも「今の学び(方)が当たり前なのではない。」ということを再確認させられました。

・『10年後、君に仕事はあるのか?』(藤原和博/ちくま文庫)

『10年後、君に仕事はあるのか?』
『10年後、君に仕事はあるのか?』

「10年後の世界はどうなっているのか?」、「不確かな未来・AIが登場した世界で生き抜くにはどんな力を身につけるべきか?」。これからの社会への対処法を伝授してくれます。勉強という分野では、これまで重視されてきた情報処理力(例、知識)から、今後は情報編集力(例、思考力・判断力)をつけていくことが大事だと述べられています。そして、この情報編集力を伸ばすには幼少期の遊びが大事だとも!この本を読み、私自身は「人間にしかできない分野(例、情緒)を鍛えていくこと・武器にしていくこと」が大切になるだろうと改めて思いました。

・『教えるということ』(大村はま/共文社)

『教えるということ』
『教えるということ』

教育分野の名著の1つです。公立中学校で教員をやっている私の友人が言うには、教員になって早々先輩から読むようすすめられたそうです。中身は「教えるということ」・「教師の仕事」・「『ことば』について」の3部構成になっています。含蓄のある内容が多数ある中、「自分の成長は先生のおかげだと生徒に気付かせないのが一流の教師だ。」という箇所に私自身は一番刺激をもらいました。

・『世界一「考えさせられる」入試問題』(ジョン・ファーンドン/河出文庫)

『世界一「考えさせられる」入試問題』
『世界一「考えさせられる」入試問題』

大学入試改革を契機の1つとして、ここ最近の日本でも「考える力」・「判断力」・「自分をアピールする力」といった力が重視されるようになってきました。これらを一足先にずっと実践してきた大学として、オックスフォード大学とケンブリッジ大学があります。ペーパーテストの難関を乗り越えてきた受験生に課される「インタビュー」。例えば「あなたならリンゴをどう説明しますか?」。この本では、このような入試問題が60題紹介されています。読み切った頃には、知的な刺激と共に、頭が随分軟らかくなったことに気付かされるのではないでしょうか?

・『中学受験という選択』(おおたとしまさ/日経プレミアシリーズ)

『中学受験という選択』
『中学受験という選択』

中学受験に対して、「いい学校で6年間を過ごし、比較的楽にいい大学に入れる」というような表面的なメリットではなく、本質的な教育的価値を明示している1冊です。

本書で書かれているような心構えで受験に望むならば、合否に関係なく大きな成長を勝ち取れると思わされます。

「子供に対する親の接し方」、「偏差値表・大学合格実績の見方」、「塾選びのポイント」など、実用的な内容も入っています。

・『みかづき』(森 絵都/集英社)

『みかづき』
『みかづき』

教育に人生を注いだ、ある家族3代の物語です。

そして、学習塾を中心に据えた珍しい長編小説でもあります。話の中で出てくる「学校を太陽とするならば、塾は月だと思う。」という言葉には深いものがあります。

現代の教育の方向性にも焦点を当て、月と太陽が手を合わせるという時代を示唆し、エンディングを迎えます。

・『Newsweek 日本版 世界の教育 学力の育て方』(2016年 3・22号)

『Newsweek 2016 3・22号』
『Newsweek 2016 3・22号』

「過去の成功体験が通用しない時代」をキーワードにした教育の特集号です。最新の研究・データをもとに、「家庭」・「学校」・「グローバル」という3つの角度から、学力の育て方を紹介しています。特に「家庭」のコーナーでは、「『ママは算数が苦手』は禁句」、「子供が学習に興味を持って熱心に取り組むようにしたいなら、まず親が手本を示そう。」など、すぐに取り組めそうなアドバイスも豊富に紹介されています。

・『スタンフォードの自分を変える教室』(ケリー・マクゴニカル/大和書房)

『スタンフォードの自分を変える教室』
『スタンフォードの自分を変える教室』

テーマはずばり「意思力」についてです。「やろうと決めたのに、なぜ続かないのか」、「やめようと思ったのに、なぜやめられないのか」、「なぜ物事を先延ばしにしてしまうのか」など、誰にでも当てはまる事柄について考察されています。そして、各項目において具体的な対処法が提示されています。「きちんと眠る(最低6時間以上)」、「お菓子の代わりにナッツを食べる」など、小・中学生でも十分実践できる内容もあります。

・『日本を教育した人々』(齋藤 孝/ちくま新書)

『日本を教育した人々』
『日本を教育した人々』

現代の日本には、実態にそぐわない不安感が表出しているのではないか?「そういう時は基本に戻ることが大切である。」と筆者は言います。ここでいう基本とは、「近代日本の基本をつくった人々を学ぶこと」。松下村塾の吉田松陰・慶応義塾の福沢諭吉・木曜会の夏目漱石・日本史をつなぐ司馬遼太郎、彼らの言説と行動の分析を通して、戻るべき基本を確認する試みの一冊です。

・『思考の整理学』(外山 滋比古/ちくま文庫)

『思考の整理学』
『思考の整理学』

ロングセラーの本です。以前、「東大生・京大生が最も読んでいる本」というキャッチフレーズがついていたのを見たこともあります。筆者の言う「ハウツーものにならないように」なっており、考えることの深み・楽しさを伝えてくれる本です。本書のパートⅠでは、「今の学校教育の『優等生』は、飛行機人間〈自力で飛べる〉ではなく、グライダー人間〈受動的に知識を得てそれに従う。しかし自力で飛ぶことができない。〉である。」というように、「優秀」の価値観に一石を投じる部分もあります。

・『齋藤孝の教え力』(齋藤 孝/宝島社)

『教え力』
『教え力』

著書の多さ、そしてメディア出演も多く有名な齋藤先生の本です。数多い著書の中でも、教育というジャンルですと一番ストレートに響く本だと思います。教育関連の立場にいる人にはもちろん、家庭でも実践できる「教える極意」が説明されています。教える側が大事にすべきものとして、「(その科目に)憧れる力」、「評価力」、「素材力」、「ライブ能力」、「育てる力」が挙げられています。本書の冒頭に、「うまい叱り方が知りたい」、「モチベーションの低い相手をやる気にしたい」、「教える相手がどうも話を聞いてくれない」などの例がありました。あてはまる方にはぜひおすすめです。

・『采配』(落合 博満/ダイヤモンド社)

『采配』
『采配』

在任8年間を通じて、中日ドラゴンズを「常勝チーム」へと変貌させた落合監督。
4度のリーグ優勝(在任8年、すべてAクラス)を果たしたリーダーによる「采配」の秘密が描かれています。もちろん野球を題材にした内容になっていますが、「不安だから練習する。練習するから成長する」、「ミスは叱らない。だが手抜きは叱る」、「相手の気持ちに寄り添いながら、自分の考えを伝える」といった、教育分野にもヒントを与えてくれる1冊です。

 

・『君たちはどう生きるか』(吉野 源三郎/岩波文庫)

『君たちはどう生きるか』
『君たちはどう生きるか』

中学2年生の主人公コペル君とその叔父さんとの対話形式で、「人間として大切なこと」、「ものの見方」、「なぜ勉強するのか」といった、人生の深い内容がわかりやすく描かれています。精神的成長のために誰もが考えるべき内容になっています。学生用としてはもちろん、大人が読んでも再発見がある本だと思います。

 

・『コーチングの技術』(菅原 裕子/講談社現代新書)

『コーチングの技術』
『コーチングの技術』

副題に「上司と部下の人間学」とありますが、子供と接する時にも応用が利く内容となっています。コーチングとは、ティーチングのように一方的に相手に教え込むというのではなく、共に考え相手の可能性を引き出す方法のことです。相手が自覚していない潜在的な知識やスキルを引き出し、それを知恵に高め、結果に結びつける。そのための具体的な方法が丁寧に紹介されています。

 

 

・『アメリカインディアンの教え』(加藤 諦三/ニッポン放送出版)

『アメリカインディアンの教え』
『アメリカインディアンの教え』

家庭環境や親の言動が子供にどう影響するかをするどく解説している書です。

「非難ばかり受けて育った子は非難ばかりします」

「ねたみを受けて育った子はいつも悪いことをしているような気持ちになります」

「心が寛大な人の中で育った子はがまん強くなります」

「いい親とは、一緒にいて安心していられる親」

「ほめられる中で育った子はいつも感謝することを知ります」  

など、大人として子供の成長に対する責任感を深く考えさせられます。 

・『下流志向』(内田 樹/講談社文庫)

『下流志向』
『下流志向』

少々ネガティブな印象を受けるタイトルではありますが、今の教育の問題を根っこからとらえたからこそ出るものなのだと思います。「教育は経済市場に飲みこめない領域である。」子供たちが勉強をしなくなったのは、早い段階で消費主体になったからである。」などと、現代教育の問題点に根深く迫る一冊。教育を本気で考えたいという方におすすめです。

 

・『あたりまえだけど、とても大切なこと』 (ロン・クラーク/草思社)

『あたりまえだけど、とても大切なこと』
『あたりまえだけど、とても大切なこと』

著者はアメリカの小学校の先生。自由な印象のアメリカであるが、教育現場ではかなりルールというものを大事にしていることがわかる。子供のうちからルールを大切にしていくことが、子供の充実した人生につながると著者は説く。 「大人の質問には礼儀正しく答えよう」、「人の意見や考え方を尊重しよう」、「バスの中ではおとなしく座っていよう」など、一見すると人としてあたりまえのルール。しかし、ふと考えると、日本人がないがしろにしつつある領域ではないかと再発見させられる。